日本の一般受験での英文法対策では、仮定法が重視されます。
仮定法には変形が多く、受験文法ではその一つ一つの変形を解説し
覚えるように指導されます。
しかし、それは実際の英語使用とは真逆の対策です。
英語の文法は規則性を重視し、長年かかって例外的な用法を排除してきました。
これが近代英語の特徴で、それ以前あった自然発生的な慣用的な英語表現は
公式な英語用法から排除されています。
その中で、例外的に残っている古い英語が仮定法なのです。
規則性を重視する現代英語に、その逆である仮定法が残った理由は、
その不規則性にあります。
仮定法でBE動詞の過去形を使うとき、I wereとかhe wereのような、
文法的ではない使い方をします。
このような非文法的であることが、仮定法の存在意義なのです。
仮定法の表現は、その名の通り現実とは異なる仮定です。
通常の仮定を越えた非現実的な仮定をする場合、それが異常な仮定である信号が必要です。
話し手が突然、文法ルールを越えた表現をすることで、聞き手が、
その話が非現実であることを感知する仕組みになっています。
要するに仮定法の表現は非文法的であることが特徴ですから、
例外はいくらでも作ることができます。
そのような例外表現をすべて覚えようとするのは、的外れな勉強と言うしかありません。
必要なのは、正しい文法的表現に熟知し、仮定法の表現が異常であることを感じ取る感受性です。
実際に使用する英語力を高めるには、まず、正しい表現法を熟知することが必要です。
基本技が定着する前に、変化技ばかりを追いかけていては、いつまでたっても
上達はありません。
基本の重要性はスポーツや種々のお稽古だけでなく、正しい英語習得にも当てはまるのです。
単純に英語力を伸ばすといっても、その裏に正しい事象の理解が無ければ、
対策は有効ではありません。
TOEFLやSATは、実際に使用するための英語力試験です。
そのために必要な英語は、英語という言語の核心をとらえた対策が必要なのです。
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